バジルやローズマリー。ハーブの爽やかな香りに包まれる豊見城市のJAおきなわエスビーハーブセンターで働く同市の本永樹生さん(21)と大城輝太さん(21)。農家から運ばれた大量のハーブを箱から取り出し、はさみで切って5グラムずつ小分けする。商品の多くは県外に出荷される。
本永さんはカタツムリや汚れなど「葉の表と裏をしっかり確認している」と細かい作業も手を抜かない。大城さんは「バジルを切る作業や仕分けでぴったりグラム数が合うときが一番楽しい」とはにかむ。本永さんは知的障がいと自閉症、大城さんは知的障がいがある。2人の出会いは3年前。障害者就労支援センターちいろばで共に訓練をした。11月から職場適応訓練として同センターで働き始めた。5月から正規採用となり、より一層気合が入っているという。
ハーブセンターの職員の上原広生さんと國吉省吾さんは2人を「あいさつができて分からないことはきちんと聞ける。真面目で見習う部分も多い」と口をそろえて絶賛する。
正社員として新たに歩み始めた2人が目標に揚げているのは“定年まで働くこと”だ。2人は「内地の人が(商品を)使ってくれていると想像するとうれしい」と話し、誰かの笑顔につながる仕事に魅力を感じている。目標はこれだけではない。
本永さんは家族思いで先のことを考えて貯金をしている。「お母さんと妹を守りたい。働けなくなったときのために、お金をためたい」と真剣なまなざしで語った。大城さんは人気アイドルグループ私立恵比寿中学のファン。「内地のライブに行って大きいステージで(メンバーが)歌っている姿を見たい」と声を弾ませた。
(上里あやめ)